厚労省もセカンドオピニオンを後押し

セカンドオピニオンとは

 セカンドオピニオンとは、患者さんが納得のいく治療法を選択することができるように、治療の進行状況、次の段階の治療選択などについて、現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めることです。セカンドオピニオンは、担当医を替えたり、転院したり、治療を受けたりすることだと思っている方もいらっしゃいますが、そうではありません。まず、ほかの医師に意見を聞くことがセカンドオピニオンです。
 担当医から説明された診断や治療方針について、納得のいかないこともあるかもしれません。「別の治療法はないのか」と思う場合もあるでしょう。セカンドオピニオンを受けることで、担当医の意見を別の角度からも検討することができ、もし同じ診断や治療方針が説明された場合でも、病気に対する理解が深まることもあります。また、別の治療法が提案された場合には選択の幅が広がることで、より納得して治療に臨むことができます。
 病状や進行度によっては時間的な余裕がなく、なるべく早期に治療を開始した方がよい場合もあるので、セカンドオピニオンの準備は現在の担当医に現在の病状と治療の必要性について確認するところから始まります。

まず、はじめの意見(ファーストオピニオン)を大切に

 複数の医師の意見を聞き、どれを選んでよいかわからなくなってしまうことのないように、最初に求めた担当医の意見(ファーストオピニオン)を十分に理解しておくことが大切です。ファーストオピニオンで、「自分の病状、進行度、なぜその治療法を勧めるのか」などについて理解しないまま、セカンドオピニオンを受けてもかえって混乱してしまいます。これまでの検査結果と説明を振り返ってみましょう。
 セカンドオピニオンを受けるためには、現在の担当医に、セカンドオピニオンを受けたいと考えていることを伝え、紹介状(診療情報提供書)や、血液検査や病理検査・病理診断などの記録、CTやMRIなどの画像検査結果やフィルムを準備してもらう必要があります。現在かかっている医療機関からの資料は、セカンドオピニオンを求められる側の医師にとって、患者さんの状態を客観的に評価し、適切な助言を伝えるために非常に重要な情報です。

セカンドオピニオンを受ける医師や病院の選び方

 近年、がん医療を行っている病院では「セカンドオピニオン外来」を設置しているところが増えています。セカンドオピニオンをどこで受けるか迷う場合には、がん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター」に問い合わせると、その地域のセカンドオピニオン外来を行っている病院や、専門領域などの情報を得ることができます。そのようなところを積極的に活用するのもよいでしょう。このほか、例えば「手術を勧められているけれども、放射線治療を検討したい」といった、具体的な治療方法に関する希望がある場合には、がんの放射線治療を専門とする医師にセカンドオピニオンを受けるという方法もあります。
 どの医療機関セカンドオピニオンを受けるのか決まったら、その医療機関の窓口に連絡して、セカンドオピニオンを受けるために必要な手続き(受診方法、予約、費用、診察時間、必要な書類など)を確認しましょう。セカンドオピニオン外来は、基本的に公的医療保険が適用されない自費診療で、病院によって費用が異なっています。
 また、セカンドオピニオンを受けるときに伝えたいこと、聞きたいことを整理し、自分の病気の経過と質問事項をメモしてから行くと、限られた時間を有効に使えます。できるだけひとりではなく信頼できる人に同行してもらうとよいでしょう。その際に、セカンドオピニオンの目的やこれまでの担当医の説明内容について、もう一度確認しておきましょう。

セカンドオピニオンを受けた後

 セカンドオピニオンを受けたら、別の医師の意見を聞くことによって、あなたの病気や治療方針についての考えが変化したかどうか、もう一度現在の担当医に報告した上で、これからの治療法について再度相談しましょう。セカンドオピニオンに対する担当医の意見を聞くことで、治療への理解がより深まり、納得する治療を選択することができるようになります。
 また、セカンドオピニオンの結果、セカンドオピニオン先の病院で治療を受けることになった場合には、あらためてこれまでの治療内容や経過などを紹介状などで引き継ぐのが一般的です。治療はセカンドオピニオン先の病院で行い、紹介元医療機関では治療後の経過観察を行う場合もあります。そのため、紹介元の担当医はあなたの治療を支援してくれる、身近な医療者の1人であることに変わりありません。セカンドオピニオンは自分らしく納得できる選択をするために大変有用な仕組みです。

セカンドオピニオンとは 東京都福祉保健局